離散フーリエ変換(5) - 畳み込み定理の証明

"相互相関関数はそれぞれDFTしてから掛け合わせて逆DFTすれば計算できるよ"

なんていわれてもにわかには信じ難いですよね。

ということで簡単に証明してみたいと思います。

データ長の二つのデータを考えます。

一応、元のデータがでその中から長さのテンプレートがどこにあるかを探す、的な状況を想定しています。

そういう時はテンプレートの末尾に個の0を追加しての長さがどちらもになるようにしておきます。

このとき、相互相関関数は

です。

こいつをDFTしてみます。




第2回でチラッと言いましたがも長さNのデータが無限に繰り返されているものと仮定します。
したがってになります。

また、自明ですが、

も成立します。

これを踏まえると、

が成り立ちます。

はもちろん

です。

”おいおいちょっとまってくれよ! 外側のΣのnに依存してるじゃねーか! さらにτの符号が負だからtの順番が逆になっちゃうよ! なのに普通にDFTが成り立つことにしちゃって良いのかよ!”

と、僕は思いました。 が、少し落ち着いて考えると順番もnも関係なかったのでした。

小さいNで例を挙げるとわかりやすいと思います。

たとえば、を考えて見ます。

と書き下せるわけです。

nを3として

を書き下してみます。

最後の項はと同じです。

つまり、nが変わると最初の項がどれかが変わるし、τの符号が逆だと項が出てくる順番が逆になるけど、どの道あらわれる項はおんなじだということですな。

ここまできたらほぼ終わったも同然です。


ということで、相互相関関数をDFTすると、それはそれぞれをDFTした結果を掛け合わせたものであることが示せました。

よかったね。

はてなの数式があまりにも汚かったのでcodecogsなるところのやつを使ってみました。

FFTの話をしなきゃなぁと思っていましたが、あんまりしたくないのでしないことにしました。 

そのかわり、次回は正規化相互相関係数についてやってDFTの話を終わりにしたいと思います。